IgA腎症とは
IgA腎症は腎生検で確定診断され、日本の腎生検例の約1/3を占める慢性腎臓病です。国内の推定発症率は人口10万人当たり年間3.9~4.5人で、諸外国よりやや多い傾向です。発症は30代に多いですが、10~50代にわたり広くみられます。自然経過は多様で、10年腎生存率は81~87%、国内の長期観察では10年87.5%、20年72.6%と報告されています。
症状
初期にはほとんど自覚症状はありません。
多くは学校・職場健診で尿潜血、尿蛋白を指摘されて見つかります。
診断
腎生検。
一般的には尿蛋白0.5~1.0g/日異常が持続する場合や、随時尿なら尿蛋白/尿クレアチニン比(UPCR)0.5~1.0g/gCr以上持続する場合に腎生検を検討します。
採取した腎組織を、光学顕微鏡(LM)、蛍光抗体法(IF)、電子顕微鏡(EM)で観察し、LMではメサンギウム領域の拡大、メサンギウム細胞増多、
分節性硬化、半月体、尿細管萎縮、間質線維化を評価します。IFではIgAを含め各種免疫グロブリンや補体沈着の有無を確認します。
EMではメサンギウム領域内沈着物、糸球体基底膜の構造、足突起の癒合などを確認します。
治療
副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、RA系抑制薬、口蓋扁桃摘出術などにより予後が改善する可能性が示唆されています。
予後
尿蛋白量、腎機能、血圧の3つが重要で、予後に影響します。特に尿蛋白量は診断時だけでなく、診断1年後の時間平均値が透析導入リスクと強く関連します。
腎機能低下は病期を示し、血尿の持続・増悪や血圧管理不良も予後不良の因子となります。
以下の表1~3を参照ください。
表1 臨床的重症度分類(C-Grade)
| 臨床的重症度 | 尿蛋白(g/日) | eGFR(mL/分/1.73m2) |
|---|---|---|
| C-Grade I | <0.5 | - |
| C-Grade II | 0.5≦ | 60≦ |
| C-Grade III | <60 |
表2 組織学的重症度分類(H-Grade)
| 組織学的重症度 |
腎予後と関連する病変を 有する球体/総糸球体数 |
急性病変のみ | 急性病変+慢性病変 | 慢性病変のみ |
|---|---|---|---|---|
| H-Grade I | 0~24.9% | A | A/C | C |
| H-Grade II | 25~49.9% | A | A/C | C |
| H-Grade III | 50~74.9% | A | A/C | C |
| H-Grade IV | 75%以上 | A | A/C | C |
表3 IgA腎症患者の透析導入リスクの層別化
| 組織学 | H-Grade I | H-Grade II | H-Grade III+IV |
|---|---|---|---|
| C-Grade I | 低リスク | 中等リスク | 高リスク |
| C-Grade II | 中等リスク | 中等リスク | 高リスク |
| C-Grade III | 高リスク | 高リスク | 高リスク |
CKD診療ガイドライン2023 より
